日曜アーティストの工房
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ピンホール写真の楽しみ方

Pinhole

 カメラってスッゴイ精密なつくりをしてるけど、実は写真自体はすごくシンプルな仕組みでできてるんだよね。レンズを通して光の像を取り込み、焼き付けるだけ。
  そんな、余分なテクノロジーを全て剥ぎ取り、写真の原点とも言える方法で撮影するカメラがあります。
 
  ピンホールカメラ。
  空っぽの箱に、針で穴を開けただけ。
  こんなもので、写真が撮れるのが不思議。
 
  僕がピンホールカメラを始めたのは、学生の頃。当時バスルームを暗室にして白黒写真をやってたので、ちょっとしたついでに好奇心でピンホール写真を撮ってみたら、意外と面白くてすっかりハマってしまいました。
 
  光を遮蔽できる容器なら、なんでもピンホールカメラになります。作り方はいろいろあるのですが、僕の場合は「写ればいいや」の、超簡易バージョン。密閉できるブリキ缶にちょっと大き目の穴を開け、裏からアルミ箔を貼り、そこにレンズとなる小さな穴を開けるだけ。シャッターは、黒いマスキングテープを使います。
 
  キャンディーケースやピルケースが、僕のお気に入りのカメラ。
  ちょっと大き目のクッキー缶にいくつも穴を開け、7連写カメラも作りました。
 
  暗いところで印画紙を装てんしたら、準備完了。鞄にピンホールカメラを何台も詰め込んで、近所を散歩しながら写真を撮ります。
  撮影できるのは、基本的に一台につき一枚だけなので、撮影後はすみやかに自宅に戻って現像。昔はネガからプリントを作るときも暗室作業でしたが、今はネガをスキャナーでパソコンに取り込んで、白黒反転させてポジにしています。
 
  最初はシャッタースピードを把握するのは難しいですけど、ベランダなどで何回か試し撮りをしている間に、なんとなく分かってくるはず。
  針穴の大きさや、その日の天気で微妙に違ってくるので、後は経験と職人の勘がモノを言う?
 
  基本的に、フォーカスとかはないので、近くのものも、遠くのものも、なんとなくぼんやり均一に写ります。結構、奥行きのある構図が面白い写真になりますよ。

 
  そんなピンホール写真の作品をFotologに載せていたら、イギリスの出版社から写真集の話が!たくさん収録されている作品のうちの、1点なのですが、明らかに僕の写真が一番「ユルイ」。それもそのはず、この時使ったカメラは、フィルムケースに穴を開けただけの、前述の簡易バージョンよりもさらに手を抜いたカメラ。正直、こんなカメラで写るとは思ってませんでした。
  で、写真集に掲載されている作品は、当時住んでいたL.A.の街並みを写したものなのですが、正直、誰の目にも何が写ってるのか判別不能だと思います。
 
  こんなユルイ写真が撮れるのも、やっぱりピンホールカメラだからこそ。
  楽しいですよ、ホントに。



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